Grapevine MISOGI ~ デジ/アナメディア

リリースされてから、ああ、もう一カ月経とうとしているのか。
本当に久しぶりにCDを買った気がする。CD、コンパクトディスクの略。小学生時代の遠い記憶を探るに、
レーザーディスクというバカでかいビデオディスクが存在しており、それと対比する、というよりもそれが
レギュラーサイズのディスクと規定した上での命名なのであった。レーザーディスクをバカでかい、としたが、
私よりも上の世代にとってはそれほどでかくなかったのかもしれない。というのも、私は(多分)買ったことは
ないのだが、レコードというものに慣れ親しんだ人にとっては、それと同じサイズだからだ。レコードと言えば
ディスク(盤)に中心から外周にかけてスパイラル状に刻み込んだ溝の上を針を走らせて、その振動、
振れ幅を音にするといった、今となっては逆に、「そっちのほうがすげえ」と思われそうな技術製品だ。
ん?してみると、レコードというのは単なる記録(レコード)再生装置ではなくて、どちらかというとオルゴール
に代表されるような自動演奏装置に近いのかもしれない。さらに言うなら、どんな技術で溝を掘っていたのか
知らんが、溝の掘り方次第でどんな音でも出せるのだろうから、出せない音はない。今で言うシンセサイザー
の機能すら持っていたということなのだろうか。DJのように同じ所を再生させることもできるのだから、
リズムマシーン、シーケンサーという機能も持つのだ、レコードプレイヤーをショルダーストラップにかけて
バンドを組むこともできた?知らん。
私はそんな可能性を持った皿を買うことはなかった。これからも買うことはないだろう。
小学生の頃はお金もないのでもっぱらカセットテープ。中学生以降はCDとそれの組み合わせだった。
カセットテープは一応アナログではあるのだが、磁気情報と言う点で、レコードほどリアルではない。と思う。
確かに何度も聴いているとテープが摩耗する、伸びるなどといった物理的なメディアの劣化が直接
再生内容の劣化に結びつくという点で似てはいるのだが、やっぱり磁気はリアルじゃないねえ。
そして、カセットテープはまた、非常にコンパクトで、ユビキタス黎明期のスマフォくらいの大きさくらいだった。
カセットテープを買うと付属しているカセットテープケースはプラスチック製で、持ち運びにもそれほど気を使う
こともなかった。レコードとは違った。買ったことはないけど。
 
何を思って書いていたのか分からなくなってしまった。
メディアを大事に扱わなくなった、ということが言いたかったのか。
メディアのメンテナンス、保存のための技術や製品と言った、メディアを取り巻く様々な仕事や製品のこと、
エンドユーザーによる再生、保存の知恵、再生用と保存用の2枚を買うという暴挙、長いこと放置(再生
しないということ)したり、積み上げて圧力をかけたりするとメディアが劣化するということ、
つまりは余計な、かどうかを言いたかったのかもしれない、仕事や気づかいが減ったということ、
それによってもたらされていた、かもしれないメディアへの愛着や敬意が失われたということが
言いたかったのだろうか。
そんな大事にしなければいけなかったリアルなレコードを、買ったことのない僕等は、戦争を知らない
子供たちと同じだということが言いたかったのだろうか。
 
俺はレコードを買ったことがない。
一応音にはこだわりたいので、さすがにダウンロードだけで済ます、ということはないのだが、
CDを買う、借りるなどして、非圧縮で電子ファイルで保存して、それを聴いている。
一発目の取り込み以外、メディアを再生機器に入れることは、滅多にない。
デジタルメディアのみを使用する俺は、もはやメディアの再生回数を気にすることも、手入れすることも、
保存方法を考えることからも解放されている。なんならメディアを全部打ち捨てても、それほど困ることも
ないと言える。  PCのHDもメディアだろうという話はツマラナイ。
PCに取り込むようになってから、確かに、CDジャケットを眺めながら音楽を聴くことは無くなった。
というか、ジャケットを「見る」ということをしなくなった。
確かに本質という点からすると、問題はない。
しかし、それでいいとは思わない。
 
「わたしあなたの優しい所が好き」
優しいところ以外は見もせず、できればノーケアで、というのは都合がよすぎる。
「パパ、アレ買って」
裏に「アレしてもいいよ(ハート)」という付帯条件がなければ契約は成立しない。
 
MISOGIはCDジャケットを眺めながら、歌詞カードの歌詞を目で追いながら聴いた。
シュールでユーモアがあって、パンチのある曲だ。
わたしにとっては「FLY」以来のヒットかもしれない。