効率化はD.I.Y.

改革が必要だと言われる。
時代遅れで非効率で金の無駄なのだ、と。
 
事務的な仕事をやったことのある人なら分かるはずだ。
100通の書類、重要な個人情報である請求書等、を作成、発送する作業を1日でできたとして、
1000通こなすには10日あればこなせる、とは限らない。
およそこういう作業は99%画一的に、システマチックに処理できる。
システム出力を請求書作成システムに流し、でてきたものを発送するだけでお終い。
だがしかし、残りの1%が非常に面倒なのだ。
名前や明細がシステム出力不可だから手書きしなければならない、などというのは問題ではない、
過去の禍根から一部請求額を減額しなければならず、その計算方法を調べて手計算し、
ダブルチェックで検算して、手書きして発送しなければならなかったり、
裁判所を介する必要があるために、関連法を調べ上げてコンプライアンスに則った形で、
適正に処理しなければならなかったりするのだ。
また、発送できたらできたで、引越していて届かない、海外移住してしまった、入院、入所してしまった、
亡くなっていた等というケースもある。
そういう例外にほとんどの労力を取られてしまう。
そして送る書類が重要であればあるほど、この労力はその二乗に比例して増大する。
この面倒な作業は、100通くらいでは遭遇しないかもしれない。
が、1000通になれば、10000通になればほぼ確実にヒットする。
通常の発送をこなしながらも、それらを処理していると、とてもじゃないが問題がない時のような
時間では処理できない。
 
そして顧客からは「対応が遅い」と言われる。
例外なのだから時間がかかっているのだ。が、顧客は自分が例外であることを知らない。
よしんば知っていたとしても、知ったことではない。なんとなればそれにのっかって支払期限の延長や
支払額の減額を要求するかもしれない。となってくると、その対応にも時間がかかる。
 
架空とはいえ、げんなりしてきた。
 
傍から見ていると、なんでそんなに時間(人)がかかるのか、なにがそんなに忙しいのか、訳が分からん
作業ということになるのだが、実際の所はそんなもんだ。
 
で、槍玉に挙がる。
効率的に作業を実施して、作業時間を短縮しろ、と。
作業方法を見直し、システム化の範囲を見直せ、と。
例外にはそのような対処方法はそぐわない。
前例にもないのでマニュアル化もシステム化もできない。
法律が絡めば法解釈の問題もでてくるので、画一的な作業方法、ましてやシステム化など誰も言いだせない。
 
トップダウンや別の部署が口を出すなら、抽象的な「効率化」等という言葉を使うべきではない。
責任を持って、「○○なケースに請求書を発送するのは費用対効果に見合わないので、××すること」
といったルールを検討すべきだ。それが言えないなら、口を出すべきではない。
そして、それは言えないと思う。
平等な対応、コンプライアンスのためには、そのようなことが許される訳がない。
 
では、どうすべきか。
悪いのは社内規則か?いや、民法か?法律なら国会議員だ!
なんとかしろ国会議員!民法改正だ!誰のおかげで飯を食ってると思ってるんだ!
だらだらやってるんじゃない!対応にどれだけ時間がかかってるんだ。効率的に動け!
税金納めてやんないぞ!
こういうのを、テンツバ(天唾 ≠ キャプツバ)と言います。
 
作業の効率化のための道は、一つ。
内部の人間の改善(≠ 改革)だ。
なんとか作業の効率をよくしたい、というサービス精神か使命感に燃えた社員が、人一倍努力して、
何年もかけてその業務に精通することで着想することができ、それをとおして得た信頼関係を元に
周りを巻き込んで実現できる、改善だ。
それしかないだろ。
 
どこかの部署が非効率だと思うなら、自らその部署に異動を申し出るべきだ。
 
ああ、そう。
大阪の橋本パーティが○○議員を維新のために擁立するらしいが、そうではないと思う。
大阪を良くしたいのであれば、大阪府内の自治体の職員採用試験をも受けさせるべきだ。