ショートショート

壮年探検団

作家を目指している、というか、自称作家の友人の坂巻(仮名)から連絡があった。 ネタ探しに廃温泉レジャー施設を探検したい、というのだ。 ついては、大石蔵之介(仮名)もつれて、一緒に行こうではないか、とのこと。 またこの3人で出かけるのか。 とも…

遠まわり

自転車を押しながら帰る帰り道。 夕焼けの空がきれいで、風も気持ちよく、ちょっと遠まわりしてみた。 知っていると思っている道でさえ、自転車で駆け抜けるのと、ゆっくり歩くの では見える景色が随分違う。 今はさらに、知らない道を歩いてる。 なんだか見…

集いの場

そこに入ると、美術室のような場所だった。 何もこんな場所でやらなくても、と思う。何年振りかの集まりだ。 様々な代が集まっており、中央で盛り上がっているのは、10歳以上年下 と思われる連中だ。まったく顔も知らない、向こうも知らない、 全く声をか…

俺の終わり

ああ、疲れた。 全く、なんで俺だけこんなに働かなくちゃいけないのか。 家の中は真っ暗。誰もいない。 時計を見れば、ああ、もうあと少しで明日だ。 ささっと風呂とメシをすませて、7時間後にはまた会社だ。 嫌だねえ。 ふと、廊下から音がすることに気付…

異音

がさ、がさがさ。 がさ、がさがさ。 同じ音が同じリズムで繰り返される。 ビニールが擦れるような不快な音で 目が覚めた。 何の音だろうか。 子供が何か、貧乏ゆすりのような動きでも しているのか。と思って確認すると、音とは 逆のほうで静かに寝ている。 …

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:亜:amazing grace

研究室のような場所。 碇シンジはエントリープラグのそれに似たようなリクライニングのきいた 椅子にゆったりと座っている。 隣のオペレーションデスクには加持がいる。 外からは銃声、手りゅう弾と思われる爆発音が聞こえてくる。 加持:N-1システムの組み…

なれずし

食べ物には2種類あって、意思を持って食べるfoodと、与えられるだけのfeedがある。 なれずし、という食べ物がある。 知らない人、好きではない人にとって、簡単に言うと、腐った寿司だ。 ナマモノ、あまつさえ魚が腐った食べ物なんて、劇物指定されても…

俺の街 rev

俺の街を二つに分断する川、そして無造作に街を四等分した線路。駅は川のすぐ北側、北部に建っていて それが建つまで山と森と崖だった所はすっかり開発され、商業施設やマンションが密集している。 対して俺の住む南部は昔ながらの住宅街で、裏山から川まで…

父のダチョウ

とある国道沿いに私の父がやっている酒場がある。 その国道は交通量が比較的少ないにも関わらず、片側2車線で中央分離帯のある広い道だ。 そんな国道に、歩道を隔てて、父の店はへばりついている。駐車場もつけずに。 駐車場。考えてみればおかしな話だ。酒…

明日に向かって逃げろ!

爆発の危険性のあるガス田で作業をしていた時だった。 近くで作業をしていた同僚が俺に話しかけてきたはずが、そいつは神だった。 「新しい命を授ける。 新しい命を受け取るためには、どうすべきだと思うか。」 あまりの驚きに、とっさに思いついた言葉が口…

輝け!俺のクソ!

男が言った。 「あの植物を見てみろよ。真黒だ。 あんなに鮮やかな色の植物が真黒に見えるということは、 今は相当暗いということだ。」 ああ。そうか。確かに今は真っ暗だ。自動販売機の明かりが無ければ、ほとんど何も見えないだろう。 しかしその自動販売…

踏切 ver1.1

今日はどこまで歩こうか。 念願叶った田舎暮らし、ようやくのんびり朝の散歩に繰り出せる。 のどかな山間の風景が朝霧に霞む。 思えば長い苦労の連続だった。 いつも何かに追い立てられ、縛られ、監視され、要求に答えていた。 ようやくそれらから解放され、…

ネコの虐待談

ネコ田:うちのご主人ってさあ、私のことよく殴るのよねえ。 ネコ森:うちのご主人なんか家出しちゃったわよ。 ネコ田:いーわねー。 今朝もねえ、殴ろうとするもんだから私、よけちゃったのよね。 ネコ森:あんたの頭、円形脱毛症みたいになってるわよ。 ネ…

パパ、だぁいしゅき

レニ、パパだぁいしゅき。 だからぃちゅも一緒だオ。 じゅっと手をつないでいよおね。 おでかけしゅるのも、買い物してる時も、ぉ家で寝る時も。 いつもドコモぃっしょなんね。 ホントにほんとにちゅながったのわ、 ぁの時 パパの上に鉄骨が落ちた時からだネ…

胸騒ぎがした。 誰かが私を呼んでいる気がする。 いや、呼んでいる。 「誰だ」「何処から」呼ぶんんだ? 部屋の中を見回す。 他の部屋、廊下、クローゼットすべて見まわった。 誰もいない。 別の場所に行くと「声」が聞こえがなくなるから、 この部屋から呼…

イデア

こんな時に、と思う。 この一時のために、一体いくら払ったんだろう。 この一時のために、どれほどの手間暇を懸けただろうか。 この一時のために。 それなのに。 気付いてしまったが最後、集中していた意識に割り入ってくる。 どうしようもないのだ。 避けよ…

芯~CORE

いろいろなことがを突き抜ける。 たくさん、たくさん私を通る。 あれやこれやがニュートリノのように。 たまに私に当たるものがある。 通り抜けずに、素通りせずに。 私の芯に当たるものがある。 それはうれしかったり、かなしかったり。 痛かったり、気持ち…

バーチャル芸人「ぽわん」の活動について

やっぱりこの世の中、面白くないと、笑えないと生きている意味がありません。 思うのです。 だいたい面白いと思えるなんて、笑えるなんて、 なんて心に余裕があるのでしょうか。 なんて知性、感性が豊かなんでしょうか。 笑いを作りたいです。 人にその土壌…

【今週のテーマ】ドライブで聴きたくなる曲

ドライブと言えば! 奥田民生「ガソリンガタリン」! タイトルがもう、すごいでしょ。 ガソリンが足らんのですよ。 そんな私に、そんなあなたに、ガソリン満タン! ばっちり”

【今週のテーマ】エコライフ

エコ。地球のためってなんでしょうか? いっそ、温暖化が進んで、水の惑星になって、イルカの文明でも築かれたなら、 地球のためともいえるんじゃないかな? なんで、地球が温暖化するとだめなんでしょうか? 地球がイヤがるのでしょうか? 人類のためって、…

特別な日

あー疲れた。今日も疲れたな~。 会社やめたいなー。もういやだなー。 やってらんないなー。 もう、ヒキコモリタイ。 うー、疲れたー 定番のうめき声をあげながら、スーツを脱ぎハンガーに掛けます。 下着姿になったところでそのまま風呂場へ赴き、シャワー…

崖の上のポニョを見ました。

崖の上のポニョを見てきました。 すごかったです。とても面白かったです。 ジブリ映画で一番は「トトロ」でしたが、それを上回りました。 世界観が飛んでいて、「子供から見た世界」、「子供が感じる世界」 がそのまま表現されているようにも思えます。 トト…

短編怪奇小説:ショートショート:犬玉

犬玉 春先の夕暮れ、男は犬と散歩していた。 そらは晴れ渡り、雲ひとつない。 土手の上から見る景色は、オレンジ色に光っているようだ。 かすかにサイレンの音が聞こえる。 男は歩きながら、違和感を感じる。 どうもいつもと犬の歩くリズムが違うようなのだ…

ショートショート:漫才ネタ:うどん

あ:なんか小腹すいたなー。テンションあがらんわ い:なんやねん、いきなりどあたまから。なんかくうてこいよ、あらかじめ あ:こういうときって、なにくうたらいいんやろ? い:やっぱり、うどんやろ。まちがいないわ。 あ:なんかなー。あれや、あの、イ…

短編怪奇小説 「奇妙な女」

奇妙な女 不意に寒さを感じた。 男は椅子にすわりながら、少し体を丸くした。 「こんにちは。」 女の声だ。 まだ待ち合わせには充分時間がある。 誰だろう?と男は思った。でも、今までにあったことのない女だ。 背筋から全身に悪寒が走る。 男は手帳に落と…